日本の代表的な洋風のサツマイモ菓子はスイートポテトである。英語ではスイートポテト(sweet potato)とは、サツマイモのことである。
日本で食べられているイモ類は米国より種類が多い。日米の両国で食べられているのは、まず、ジャガイモ、次がサツマイモである。里芋類や山芋類などは、米国の限られている所でしか見かけられず、その地方の少数民族向けの食料品となっている。一般米国人は、potato とsweet potato のどちらかのイモ類しか知らないし、それ以外のイモ類は食べない。potato が主で、sweet potato のほうが消費される量が少なく、potato(ポテト)に対して、sweet potato(甘いポテト)があるというにすぎない。
言語的観点からpotato にふれれば、サツマイモはジャガイモより先にヨーロッパに入ってきた。16世紀のカリブ海では、現地の人はサツマイモをバタタ(batata)と呼び、探検家はそのイモをスペインへ持ち帰り、それはパタタ(patata)と呼ばれてきた。それより後にヨーロッパへ入ってきたジャガイモのほうはサツマイモより人気があり、パタタはジャガイモの呼び名になり、英語ではポテトになってきた。それに対して、サツマイモは甘いポテト(スイートポテト)と呼ばれるようになってきた(注1)。
米国の消費者が単に、サツマイモを甘いポテトであると考えるのは困るので、1991年にサツマイモのスペルを少々変える提案が出された。即ち、従来、2語で書く sweet potato を1語 sweetpotato で書くようになった(注2)。現在、両方のスペリングが見かけられる。
英語では、サツマイモを使った面白い表現が日本ほどない。ただし、sweetpotato(サツマイモ)はイモ以外の意味もある。例えば、オカリナという楽器がサツマイモの形をしているので、英語でオカリナのことを、スイートポテトとも呼ぶ。
注1:Oxford English Dictionary, Second Edition, prepared by J.A. Simpson and E.S.C. Weiner, vol. 12, Clarendon Press, Oxford, 1989, p. 217。
注2:1991年6月米国アラバマ州にあるタスキギ大学で行われた、国際サツマイモシンポジウムで宣言されたこと。Loretan, Marie, We Needed to Meet, Tuskegee Horizons, Vol. 2, No. 2, Fall 1991, pp. 10-11。
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