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違いの諸体験

1. Social Security Number

アメリカの国民背番号みたいなもので、社会保障に使われていて、国民年金にも関係している。この番号を私は銀行口座を開くとき、車を購入するとき、保険に入るとき、そのほか大事な場面で要求されました。学校の身分証明書カードもこのナンバーを使っています。しかし外国人がこのナンバーをもらうのは難しくなっているようです。私が最初にSocial Securityの事務所にパスポートとI−20(入学許可書)を持ってナンバーを申請に行った時、あなたには必要ない、発行できないと言われ拒否されました。2度目に学校からの手紙を持って行って、やっと申請を受理されました。留学生はアメリカで働くのを禁止されていますが、所属の学校内だけは許可されていまして、その手紙の内容は私をアルバイトとして雇用するので、Social Security Numberを発行してほしいと言うものです。もちろんそれはナンバーをもらうための口実で私は働きません。その申請書で戸惑ったのは自分の母親の旧姓を書かせる欄が有ったことで、私の母親はとっくの昔に亡くなっていますし、憶えていません。私の長い人生で母親の旧姓を聞かれたことは一度もありませんし、必要もありませんでした。どうしてこんなものが必要か不思議でしたが、書かなければ申請書を受理してもらえませんので、思いついた苗字でごまかしました。

2. Baby shower

出産前のお祝い品贈呈パーティーです。Wedding showerと言うのもありまして、これは結婚前のお祝い品贈呈パーティーです。とみ子さんが当人ですが、昨年6月主催者としてはとみ子さんのご主人の友達のご夫妻が引き受け、そこの家で開きました。ですから私への招待状はまだ会ったことも無いそのご夫妻から届きました。組み立て式の簡易プールが設置された広い庭でのバーべキュウパーティーで20数人集まりましが、嬉しいことに、この家のご主人が自家製ビールを作っていまして、私はアメリカのビールはいろいろな種類を飲んで見ましたが日本のビールよりうまいと思ったことはありませんでしたのに、ここのビールは最高でした。手で栓を開けられる小ビンですが6〜7本は飲んだと思います。

一般的にお祝い品はダブらないように当人が定めたお店、デパートとか大きなスーパーに欲しい物のリストを用意し、プレゼントしたい人はそこへ行って購入します。私はとみ子さんから希望を聞いてdiaper(紙おむつ)を持って行くことにしましたが、50組くらいのパックで10ドル強です。長女(偽)ですから、少なくとも1万円くらいのものを予定していたのに日本とは相場が違うようです。プレゼントにはきれいに包装してカードを添えます。こちらではお店で包装してくれませんので自分で材料を買って包装しなければなりません。きれいな包装紙、ひも、リボンや色々なサイズ、模様のひも付き紙袋がスーパーで売られています。

カードに関しては日本人の誰もがその豊富さに驚くでしょう。郵送したり手渡したりカード単独で使われ、プレゼントに添えるのはカードの使用方法の一部です。誕生カード(友達からのもの、親から、子供から、ボーイフレンド、ガールフレンド、宗教的なもの等がそれぞれふさわしい文章で出来ている)、クリスマスカード(日本の年賀状に比例する枚数が送られていると思われる)、Thank you card(礼状として普及している)、Baby shower card、Wedding shower card、入学祝カード、卒業祝カード、就職祝カード、等々、どこのスーパーにも置いてあります。私が日常品の買い物によく利用したsafe wayと言う名前のスーパーではカードの陳列棚が30〜40mも続いています。

一通り食べたり飲んだりしたあと、いよいよ当人のとみ子さん、Steve夫妻がプレゼントを開け始めます。二人を囲んで皆が見守る中、包装紙を破り中身を取り出して見せながら送り主を紹介し、カードを読み上げます。全部のプレゼントを開け終えるまでかなり時間を取り、これが楽しいセレモニーになっています。私はプレゼントとして紙おむつを持って行きましたが、このようなセレモニーを知らなかったため包装せずに剥き出しのまま、又カードも添えなかったので恥ずかしい思いをしました。

3. Candle party

ローソクはアメリカの家庭で装飾品として驚くほど普及しています。私が訪れたある家庭では各部屋全部に大小さまざまのローソク付きの燭台があり、それも一部屋にひとつや二つではありません。トイレに飾っている家庭もあります。スーパーをはじめとして、いろいろな店が、色、形の異なったローソクや器具を扱っています。

とみ子さんの家でキャンドルパーティーがありました。近所の人や友達が12〜3人集まったところへ、夜7時ごろローソク器具会社の担当者が各種の器具を運んできて陳列します。美しくローソクのともった器具は私たちを夢の世界へ引き入れます。担当者はテレビのトーク番組のホステスのように我々に話し掛け、なぞなぞを出したりクイズを出したりして楽しませます。それが一時間ぐらい続いた後、陳列した器具類やきれいなカタログをもとに注文を取ります。私も気に入った器具とローソクを日本のお土産に買いました。食事をご馳走になり解散しましたが、日本で遭遇できない貴重な体験だと思っています。

4. Surprise party

特に誕生日が多いと思いますが、本人に事前に何も知らせないでパーティーを準備し、会場で本人をびっくりさせるパーティーのことです。帰国前に一緒にアメリカ国内旅行をするため私のワイフが日本から来ていました。私の誕生日は8月8日ですが、この日にとみ子さんからワイフ共々昼食の招待を受けていまして、夏学期がまだ終わっていませんでしたので、一時半まで授業を受け、二時ごろとみ子さんの家に伺いました。ドアをあけたら見慣れた顔が揃っていて一斉に“Happy birthday”と言うではありませんか、もうびっくり仰天いたしました。先ほど受けた授業には日本人の友達が二人いるんですが、2人ともこの日は休んでいまして、その内の一人はやす子さんで彼女は休む場合は必ず事前に私に連絡してくれていました。どうして連絡なしに休んだのか不思議に思っていましたが、ここに2人とも皆と一緒に待っていました。パーティーの準備をするために、わざわざ学校を休んだと分かり申し訳ない気持ちになりました。

数々の誕生祝をいただき、その中にはアメリカで流行っていた“歌う魚”(人が前を横切ると魚が尻尾を振り、口を開けて歌い出す)やChemeketaのネイム入りの上着もありました。私は日本で大勢の友達が集まって誕生日祝いをされた記憶はありませんし、もちろんSurprise partyの経験もありません。もし留学しなかったら一生経験することは無かったでしょう。

5. スーパーストア

一般的に、店の前に広い駐車場があり、斜めに駐車する様になっており、頭から突っ込みます。私はバック駐車が下手なのでここのやり方は非常に助かります。通常、入り口と出口は隣り合っていますが、別々になっていてオートドアがついています。店の中は日本でも大型店が出来ていて大して変わりませんが、レジがちょっと変わっています。各レジに列が出来ますとだいぶ待たされます。というのは日本の3倍ぐらいあるショッピングカートにいっぱい買い込んでレジで支払いをするわけですから一人の時間がかかりますし、小切手を使いますと運転免許証を見せたり、小切手に記入したりで更に時間がかかります。しかし買った物が15品目以内の人のための専用レジ、9品目以内で現金専用レジ、といった特別のレジがありこれを利用すると早く勘定が済ませます。

支払方法には小切手、現金、クレジットカード等がありますが一番早くて簡単なのはデビッドカードです。これは銀行が発行するカードでATM機能の他に買い物をした店のレジで自分の銀行口座から即時に支払いできる機能、更には支払い時に預金を引き出すことが出来ますので、とても便利です。クレジットカードのように自分の名前をサインする必要もないし、現金のようにお釣りをもらう必要もありません。私はいつもデビッドカードを利用していまして、4桁の暗証番号は自分で打ち込みますが、買い物をしたレシートにはMasao Mizukamiとプリントされて出てきます。私はガソリンスタンドでもこのカードを使っていました。全米どこでも使えます。銀行に関して一つ付け加えますと預金を引き出したいとき車で行くならATMは銀行の外に何台か設置されていますので車に乗ったまま操作できます。

スーパーではありませんがセーレム市内に日本食品と一部日本雑貨を扱っている店が一軒あります。小さい店ですが日本人のハツヨさんと言う方が経営している“ハツヨの店”でクロネコヤマトの宅急便も扱っています。私はここで日本酒、ラーメン、梅干、焼き海苔、漬物等を買っており、ポトラックパーティーがあるときは日本のヨーカンやお菓子を買って持っていったものです。

セーレムに住んでいる日本食にこだわる日本人たちは車で一時間近く掛かるにもかかわらず、ポートランドの近くにある宇和島屋と言う日本食品の大型店に行っていました。生もの、野菜を含むほとんどの日本食品がここには置いてあり、日本食に飢えた人にとってはオアシスと言えるかもしれません。店の中の一角に紀の国屋があり日本の本、雑誌、CDなどを売っています。

アメリカのお店で私が意外に思ったのは、大きな古着屋とか中古品を売っている店が意外に多いと言うことです。チェーン展開をしている店もあり、洋服などはかなり安く買えます。コップ、お皿などの食器類、包丁、鍋等も古いものを売っていますので、留学生はこういうところで生活用品をそろえれば安くすみます。アメリカといえば物をどんどん消費しどんどん捨てる、使い捨ての社会と言うイメージがありますが、日本よりもずっと物を大切にしているのではないか、家を例に取れば日本の家の倍以上の年数を手入れしながら長持ちさせています。ガレージセールは毎日どこかでやっていますが、そんなものは捨てればよいと思われるものまで値段をつけて売っています。ごみ処理と言う社会問題と結びつけなくとも、日本人はもっと物を大切にすべきだと感じました。

6. アウトレット

工場直送品の小売店グループですが、ブランド品が安いので人気があります。セーレムの人達はオレゴンコーストにあるリンカーンシティーのアウトレットに一時間以上かけて行っていましたが、1999年8月にセーレムから車で20分ほどのウッドバーンと言うところにきれいな建物郡の新しいアウトレットが出来ました。セーレムに住む知人を訪れる日本人はここでアメリカのブランド品を買いあさっています。ワイフと一緒にアメリカ国内旅行をしたとき、バスのパックツワーでしたがラスベガスに行く途中、砂漠の真ん中にあるアウトレットに連れて行かれましたが、かなり繁盛しており、どうしてこんな辺鄙な場所で経営が成立つのか不思議に思ったものです。

7. ちょっと驚いた事

ハグ(hug):親愛をこめて抱き合うこと。挨拶代わりに日常見られることですが私が初めてハグされたときはびっくりしました。入学してから初めての学期にブラジルからきたLigiaという女性とクラスが一緒で親しくなりましたが、翌期は別々になり2ヶ月ぐらい経ってから私がCulture Fairで日本コーナーの展示台の前に立っていた時、久しぶりに彼女が現れました。私を見つけると突然“Masao, long time no see.”と言いながら両手を広げて迫ってきました。私は咄嗟に体を避け様とさえ思いましたがハグしてしまいました。彼女は若くグラマーで美人、日本コーナーでは他の日本人が見ています。その時は恥ずかしくて赤面してしまいましたが、その後は慣れました。日本人同士でさえハグしています。

ビリヤード:バーに飲みに行くと必ずといってよいほど玉突き台が何台も置いてあります。バーというのは飲むところなのか、ビリヤードをするところなのか分からないくらいです。皆上手でアメリカでこれほどビリヤードが流行っているとは思いませんでした。

Catfish:鯰のことで、友達のホームステイ先のアメリカ人の奥さんから煮たものをご馳走になりましたが、大変おいしく、鯰のイメージから来るグロテスクなものを感じさせず、まろやかな味がします。アメリカ南部で養殖が盛んだそうです。

ボーイフレンドとガールフレンド:文字どおり男友達と女友達と解釈するとあたりません。いつも一緒に見かける、あるカップルに、その日相手の男が居ませんでしたので、女のほうに、あなたのボーイフレンドはどうしたのか聞いたところ、彼は私のボーイフレンドではないとはっきり否定されました。恋人と言う意味に近く、それぞれその人にとってボーイフレンドもガールフレンドも唯一人だけで、単なる友達は該当しないと言うことを知りました。

Tattoo(刺青):最初の年の春学期テニスのクラスで、メガネをかけたおとなしいアメリカ人の女性と知り合い、相手をしてあげていましたが、ある良く晴れた日彼女はノースリーブでコートにやって来ました。見ると腕の上の方に刺青があるではありませんか。少なからず驚きました。こんなに若くおとなしい子がどうして刺青なんかするのだろうか。その後軽装の季節になってきて分かりましたが、男も女も刺青をしている人はかなりいます。ダウンタウンでもTattooの看板を掲げたお店を見られます。刺青をするのもしないのも個人の自由ではあるだろうけれど、私としては日本人は真似してほしくないと思います。

イヤリング:近くに住む韓国人のヨンナンの娘がまだ一才なのにイヤリングをしているのを見て、親の良識を疑ってしまいました。しかしそれは私の偏見だったのでしょう。ヨンナンもアメリカ人のご主人のケビンも敬虔なキリスト教の宣教師です。アメリカでは子供が幼くて気づかない内に耳に穴をあける親が多いようです。小学生、中学生が学校でイヤリングをしていても何の違和感もありません。10年前テレビでテニスのアンドレアガシがイヤリングをしているのを見て、キザだなーと思いましたが、現在は日本でもイヤリングをしている男がいて、時代の変化を感じます。

安楽死:オレゴンでは医者が不治の病の人の自殺を助けるのを法律で認めています。全米にこの普及を働きかけている記事がよく新聞に出ていますが、反対意見も多く未だオレゴン州だけです。私はPPK(ピン、ピン、コロリの頭文字)を望んでいますので大賛成です。