Return to Table of Contents, "Two Years in Salem as a 60 Year Old Student"
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アメリカで気がついた事
第一番目にスマイルを挙げます。道で、あるいはキャンパスですれちがうとき、一対一の場合ですが未知の人が私に微笑みかけます。はじめてにっこりされたときは戸惑いました。若く美しい娘で、一瞬私は後ろを振り返ってしまいましたが、誰もおらず私へのスマイルであることは明らかです。二度目、三度目と経験し、ESLの先生に聞いて見ましたら、男性女性とも見知らぬ人へのスマイルはアメリカ人の習性だそうです。もし日本で見知らぬ女性があなたに微笑みかけたら、その人を娼婦かそれとも精神薄弱児だと思うでしょう。アメリカ人のこの習性は私のような異国の地で不慣れな生活をしている者にとって元気づけられるものでした。
肥満者が多いのも特徴だと思います。それも半端な太り方ではなく、引退した力士小錦のような肥満者があちこちで目に付きます。
身体障害者が目に付くのも日本とは違います。身体障害者が日本よりもずっと多く存在するとも思えませんので、活発に動き回っているからだと思います。学校やスーパー、人が集まるところの駐車場は一番良い場所に車椅子のマークのついた駐車スペースが用意されています。公共の建物はバリアフリーになっており、Chemeketa Community Collegeも2階までしかありませんがエレベーターがついています。又学校では難聴者が一般のクラスを受けられるよう、手話の出来る職員を採用し、準備しています。セーレムでは市内循環バスが走っていますが車椅子のリフト装置がついています。難聴者にとって圧巻なのはテレビのキャプションです。耳の聞こえない人のためにテレビ画面に英語のセリフが表示できる字幕のことです。難聴者の数は国民全体から見れば極少数だと思いますがテレビ放送にキャプションを義務付けたという事にアメリカの偉大さを感じます。このキャプションは私たち英語を勉強している外国人にとって、とても役に立つものです。私が留学する前、日本にいるとき教材として販売している映画の英語字幕付英語ビデオテープを買ったことがあります。“クレイマー、クレイマー”という映画でシナリオは添付されていましたが一万円近くしました。それを考えて、帰国してからの教材とすべくキャプション付の映画をテレビから25,6巻録画しましたが、ある日本人留学生に聞いたら、日本のテレビではキャプションが写らないと言うではありませんか、がっかりしましたが録画
した映画のビデオテープはみんな日本へ持って帰りました。
ウィークデイの昼間ぶらぶらしている定年前の男が目立ちます。日本ではスーパーに行ってもご婦人方や男はお年寄りばかりで、休日でないと働き盛りの男はあまり見かけません。アメリカでは日本よりもずっと夫婦の役割が逆転して、奥さんが勤めに出て主人は家事をやっている家庭が多いのかもしれません。
ぼろ車がやたらと多く走っています。車体があちこちへこんだ車や、古ぼけて変色したような車、ひどいのになるとボンネットのない車も走っています。車検制度が無いのが一番の原因だと思います。中古車センターが多く、私は友達が中古車を買うのに付き合って、市内20箇所ぐらい廻ったことが有りましたが、まだまだ行っていない中古車センターがありました。個人取引も盛んで、自分の車に張り紙をつけたり、新聞の広告で知らせたり、学生は学校の掲示板を利用していました。価格は中古車センターなら1000ドルくらいからありますが、20万マイル(32万キロ)以上走っており、日本では考えられません。知人の間で600ドルくらいで取引しているのに二回遭遇しましたし、又ある日本の留学生は250ドルで知人から車を買いました。それに一度乗せてもらいましたが、廃車場から持ってきたような、みすぼらしい車で何時、エンコするか心配でした。留学生は平均的には、2000ドル、15,6万マイル、14,5年前の車を買っているようです。
住宅の郵便受けが道路の片側だけしかありません。ポールで固定され何軒分か、かたまって道路の端に立っております。配達人が同じ道を往復しないで済む様に効率を考えてのことだと思います。又、配達人は車に乗ったまま集配作業をしています。